冬に燃費が悪くなるのはなぜ?原因と今日からできる対策を解説
冬に燃費が悪くなるのは、エンジンが温まるまで燃料を多めに使うこと、暖房のための停車中のアイドリング、気温による空気圧の低下などが重なるためです。走りながら暖める、空気圧を月1回確かめるといった工夫で落ち込みを抑えられます。
「暖房はほとんど使っていないのに、夏より給油の間隔が短い」——寒くなると、こうした声を店頭でもよく聞きます。運転の仕方が変わっていなくても、気温が下がるだけで車の燃料の使い方は変わります。
この記事では、羽村市の中古車店「くるまやミライ」の元VW販売員が、冬に燃費が落ちる仕組みと今日からできる対策、季節のせいだけではないケースの見分け方を解説します。
冬に燃費が落ちる主な理由
冬の燃費低下は、ひとつの原因ではなく、いくつかの要因の積み重ねです。まず全体像を整理します。
| 原因 | 何が起きているか | 影響しやすい場面 |
|---|---|---|
| エンジンが冷えている | 温まるまで燃料を多めに噴射する | 朝いちばん・短距離の移動 |
| 暖機・暖房のためのアイドリング | 止まったままエンジンを回している | 出発前・駐車中の待機 |
| エアコン(A/C)の作動 | コンプレッサーを動かすぶん負担が増える | 曇り取り・A/Cを入れたままの暖房 |
| タイヤの空気圧低下 | 気温が下がると空気が縮み、転がりが重くなる | 点検せずに冬を迎えたとき |
| 冬用タイヤ・雪道 | 路面やタイヤの抵抗が増える | 降雪時・スタッドレス装着時 |
このうち、運転する人の工夫で減らせるものが少なくありません。順番に見ていきます。
エンジンが温まるまでは燃料を多く使う
エンジンは、適温まで温まって初めて効率よく動くように作られています。冷えている間は燃料が霧状になりにくく、エンジン内部のオイルも硬いため、制御側が燃料を多めに送り込んで安定させます。気温が低いほど適温になるまでの時間が長くなり、そのぶん燃料を多く使う時間も延びます。
とくに影響が大きいのが、近所への買い物や送り迎えのような短距離の移動です。エンジンが温まりきる前に目的地に着くため、走った距離のほとんどが「燃料を多く使う時間帯」になります。
暖機運転は「走りながら」が基本
環境省が紹介する「エコドライブ10のすすめ」では、現在の乗用車は基本的に暖機運転が不要とされ、エンジンをかけたらすぐに出発してよいと案内されています。また、10分間のアイドリング(エアコンOFFの場合)で130cc程度の燃料を消費するとしています。
止まったまま長く温めるより、発進後しばらくは急加速を控えて穏やかに走る「走行暖機」のほうが、燃料のムダが少なく、エンジン全体も均一に温まります。
暖房と曇り取りの使い方
多くのガソリン車の暖房は、エンジンの熱(冷却水の熱)を利用しています。そのため、温風を出すこと自体で燃料が大きく増えるわけではありません。ただし、エンジンが冷えている間は温風も出ないため、「暖まるまで止まったまま待つ」と、アイドリングの時間がそのまま燃料のムダになります。
A/Cスイッチは必要なときだけ
エコドライブ10のすすめでは、暖房だけが必要なときはエアコンスイッチをOFFにするよう勧めています。A/Cは冷房と除湿のためのコンプレッサーを動かす機能なので、入れたままにしていると、そのぶんエンジンの負担が増えます。
一方で、窓の曇りを取るときには除湿が役立ちます。車種によってはフロントの曇り取り(デフロスター)を使うとA/Cが自動で作動します。視界の確保は燃費より優先すべきことなので、曇ったときはためらわずに使い、晴れたらA/Cを切る——という使い分けがおすすめです。
タイヤの空気圧は寒さで下がる
見落とされやすいのがタイヤの空気圧です。ブリヂストンは、外気温が下がると空気が収縮し、そのぶん空気圧が低下すると説明しています。加えて、タイヤの空気は走らなくても少しずつ抜けていき、JATMA(日本自動車タイヤ協会)の調べでは1か月で5%程度低下するとされています(ブリヂストンによる紹介)。
空気圧が不足するとタイヤのたわみが大きくなり、転がりが重くなります。JAFのユーザーテストでは、空気圧を適正値から30%減らした車で燃費が平均4.6%、60%減らした車で平均12.3%悪化しました。
| 空気圧 | 燃費 | 適正との差 |
|---|---|---|
| 適正 | 13.0km/L | — |
| 30%減 | 12.4km/L | 平均4.6%悪化 |
| 60%減 | 11.4km/L | 平均12.3%悪化 |
空気圧の点検は、走る前のタイヤが冷えている状態で、月に1回以上が目安です。指定空気圧は運転席側のドア開口部などに貼られたラベルで確認できます。スタッドレスタイヤも、基本的には車の指定空気圧に合わせます。
冬用タイヤへの交換時期についてはスタッドレスタイヤはいつから履く?交換時期の目安と寿命・保管のコツで詳しく解説しています。
ハイブリッド車は冬の影響を受けやすい
ハイブリッド車は、モーターだけで走れる場面が多いほど燃費が伸びる仕組みです。ところが冬は、暖房の熱を確保するためにエンジンがかかる時間が増えます。駆動用バッテリーも低温では本来の性能を発揮しにくくなるため、夏と比べた燃費の差が、ガソリン車より大きく感じられることがあります。
これは故障ではなく、仕組み上起こりやすい変化です。シートヒーターやステアリングヒーターが付いている車なら、それらを併用して設定温度を控えめにすると、エンジンがかかる時間を減らしやすくなります。
今日からできる冬の燃費対策
- エンジンをかけたら、穏やかに走り出す:止まったままの長い暖機は控え、走りながら温める
- 暖房のみのときはA/CをOFFに:曇り取りに使ったあとは切り忘れに注意
- 空気圧を月1回、冷えた状態で確認する:寒くなると自然に下がるため、冬こそこまめに
- 不要な荷物を降ろす:エコドライブ10のすすめでは、100kgの荷物で3%程度燃費が悪化するとしています
- 短い用事はまとめて回る:エンジンが温まった状態で走る時間の割合を増やす
- シートヒーター等を活用する:設定温度を上げすぎずに体感を温める
どれも特別な道具はいりません。とくに空気圧と荷物は、燃費だけでなくタイヤの寿命やブレーキの効きにも関わるので、冬の準備とあわせて見直しておくと安心です。冬前に確認しておきたい項目は冬の前にやっておきたい車の準備にまとめています。
季節のせいだけではないときの見分け方
冬に燃費が落ちるのは自然なことですが、落ち方が急だったり、暖かい日にも戻らなかったりする場合は、季節以外の原因が隠れていることがあります。点検に出す前に、次の順番で確認してみてください。
- タイヤの空気圧:4本とも指定値か。1本だけ極端に低いときはパンクの可能性も
- 使い方の変化:短距離移動や渋滞が増えていないか、荷物を積みっぱなしにしていないか
- エンジンオイルの交換時期:前回の交換から距離・期間が経ちすぎていないか
- 警告灯:エンジンチェックランプなどが点灯していないか
- 走行中の違和感:加速が鈍い、ハンドルが取られる、焦げたにおいがするなど
警告灯の点灯や走行中の違和感がある場合は、自己判断せずに整備工場で診てもらいましょう。オイル交換の目安はエンジンオイルの交換時期は?走行距離と期間の目安で解説しています。
西多摩の冬と燃費
羽村市や青梅市を含む西多摩エリアは、都心より冷え込みが厳しい地域です。気象庁の青梅アメダスの平年値(1991〜2020年の統計)では、1月の日最低気温は-2.3℃。朝の出発時にエンジンもタイヤも冷え切っている日が続くため、ここまで紹介した冬の燃費低下の影響を受けやすい環境といえます。
山あいへ向かう道や坂道も多く、冬の路面に備えて4WDを選ぶ方もいます。駆動方式による燃費の違いは2WDと4WDの違いとは?メリット・デメリットと選び方をご覧ください。
くるまやミライは羽村市で販売・買取・車検整備をワンストップで行っています。燃費の落ち方が気になる方は、車検・整備のご案内からお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q.冬は夏と比べてどれくらい燃費が落ちますか?
車種や地域、使い方によって大きく異なるため、一律の数字はありません。寒さが厳しい地域ほど、また短距離の移動が多いほど落ち込みは大きくなる傾向があります。ご自身の車の夏の燃費と比べ、暖かくなっても戻らない場合は点検を検討してください。
Q.暖房を使うと燃費は悪くなりますか?
多くのガソリン車の暖房はエンジンの熱を利用するため、温風そのもので燃料が大きく増えるわけではありません。燃費に効くのは、暖まるまでのアイドリングと、A/Cスイッチを入れたままにすることです。暖房だけが必要なときはA/CをOFFにしましょう。
Q.冬は暖機運転をしたほうがいいですか?
現在の乗用車は基本的に長い暖機運転は不要とされています。エンジンをかけたら、しばらくは急加速を控えて穏やかに走る「走行暖機」がおすすめです。ただし、窓の霜や曇りが取れて視界が確保できるまでは出発しないでください。
Q.スタッドレスタイヤに替えると燃費は変わりますか?
雪や氷をつかむために柔らかいゴムと深い溝を持つため、夏タイヤより転がりが重くなり、燃費が下がることがあります。空気圧が低いと影響が大きくなるので、冬用タイヤでも指定空気圧を保つことが大切です。
Q.燃費が急に悪くなったら、まず何を確認すればいいですか?
最初にタイヤの空気圧、次に最近の使い方の変化(短距離移動や荷物の量)、そしてオイル交換の時期を確認してください。警告灯の点灯や走行中の違和感がある場合は、整備工場での点検をおすすめします。
まとめ
- 冬の燃費低下は、エンジンが冷えている時間・アイドリング・空気圧低下などの積み重ね
- 長い暖機より、走りながら温める「走行暖機」が基本
- 暖房だけのときはA/CをOFF。曇り取りは視界優先で使い、晴れたら切る
- 空気圧は寒さで下がる。冷えた状態で月1回以上確認する
- 落ち方が急、暖かくなっても戻らないときは季節以外の原因を疑う
冬の燃費は、少しの工夫でかなり変わります。寒い朝ほど、出発前の空気圧チェックと穏やかな走り出しを意識してみてください。